コート・ロティ
コート・ロティは、世界で最もエレガントで上品な味わいのシラーとして知られているワインです。
フランス・北部ローヌにあるシラーを主体とした赤ワインの生産地です。
急斜面で作られており希少なため、普段飲むにはいくぶん高価なワインとなっています。
なぜ有名じゃない?コートロティの歴史
元々コート・ロティは、ローマ人によってそのポテンシャルを見い出され、非常に古くから銘醸地として知られるワイン産地でしたが、19世紀になると、フィロキセラ害や二度の世界大戦を経てコート・ロティの畑は壊滅、険しい渓谷に築かれ、平地の何倍も労力がかかる環境という事もあり衰退していってしまいます。なんとかワイン造り自体は続いていたものの、消費されるのは地元がほとんどで、やがてフランス本国でさえ知名度の低い銘柄になってしまっていました。ようやく世界の表舞台に登場したのは1970年代以降のことです。ワイン・アドヴォケイト誌の創設者ロバート・パーカー氏がコート・ロティを世に知らしめたことと、コート・ロティを代表する偉大なドメーヌとして知られるギガルが復活の立役者でした。
ブルゴーニュと間違うほどの味わい
コート・ロティは北部ローヌの最北端、南部ローヌよりもブルゴーニュ南部のマコネやボジョレーと近い位置にあり、ミストラルと呼ばれる冷たい北風が吹き抜ける渓谷は、実はシラーが熟すのにはむしろ寒すぎる北限の地です。
コート・ロティ(日本語訳では”焼けた丘”)と呼ばれるほどに日当たりの良い、南東向きの急斜面にブドウを植え、酸度を保ちながらもしっかりと熟したブドウで、焼けた丘という名前からは想像もつかないほど上品なワインを造ります。
また、シラーに芳香性の高い白ブドウ、ヴィオニエをわずかに混ぜて醸造する独特な慣習もコート・ロティのエレガンスに寄与している一因と考えられており、繊細さのあるブルゴーニュに似ていると言われる理由なのかもしれません。
2つの真逆の特徴を持つシラー
コート・ロティの産地は2つの丘に分かれており、一方は「コート・ブリュンヌ」で力強く男性的なワインを産み、もう一方の「コート・ブロンド」は繊細で女性的なワインを産むとされています。
またコート・ロティには、特に優れているとされる単一畑が存在しており、ギガルによって有名になった「ラ・ムーリーヌ」「ラ・ランドンヌ」「ラ・トゥルク」の3つです。ラ・ムーリーヌは、凝縮感がありながら非常に繊細で上品なワイン、ラ・ランドンヌはより濃厚でタンニンが豊富、ガッチリとしたストラクチャーを持つ堅固な造り、ラ・トゥルクは特に希少性が高く、凝縮感たっぷりながら果実味も豊富でしなやかな造りのワインになっています。


